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フィラリアのはなし

2009年03月17日

今年もフィラリア予防の季節がやってきた。わんちゃんを飼っている人にはお馴染みの「フィラリア」だが「夏だけのめばいいのよね。」「うちはマンションだ からいれへんわ。」「外におるけど蚊取り線香ちゃんとしとるから大丈夫。」などまだまだこの病気に対して誤解がある。フィラリア症は命にかかわる重大な寄 生虫疾患だ。だからフィラリア症がどのような病気であるのか、そして予防についてきちんとした知識を持つことが必要なのだ。

学 名はDirofilaria imitisといい、和名を犬糸状虫という。成虫の体長は♂:17cm、♀:28cm位の細長い寄生虫だ。子虫であるミクロフィラリアが蚊によって犬から 犬へ伝播され、心臓や肺の血管に寄生することにより血液の循環を妨げ、やがて体中の臓器に悪影響を及ぼす。

フィラリア症、つ まりフィラリアの成虫が心臓などに感染してしまうとどのような症状が出るのか?一番、多く認められるのは「咳」だろう。人とは違い何かがのどに詰まったよ うにむせるような症状になる。よく「吐きたそうにしているんですけど」と家族の人から質問されることがある。

フィラリア症の場 合、「咳」の原因にはミクロフィラリア感染に対するアレルギー性肺炎や次に挙げる「心不全」によることが多い。

そして、心臓・肺 の血管に寄生虫がつまってしまうため血液の流れが妨げられたり、肺の機能が低下してしまう。多くの場合はこの循環の妨げによりゆっくりとした慢性的な経過 をたどり「右心不全」を引き起こす。

右心不全により腹水が貯まってきたり、失神、不整脈などを引き起こす。ゆっくりとだ が確実に犬の命を脅かすのだ。

上記したようなゆっくりとではなく急に強い症状が出る「大静脈症候群(VCS)」があ る。これは多くの虫体がつまることにより静脈から心臓への血流が遮断されたときに起こり、循環不全と急性の貧血を起こしショック状態に陥る。フィラリア症 で赤っぽい尿をするのは壊された赤血球の色素が尿に出てくるためだ。

急性の場合、多大な リスクを伴うが命を懸けて摘出手術をする以外助かる方法はない。

このフィラリア症、 非常に恐ろしい感染症なのだが予防はごく簡単に出来るものだ。もちろん家に居ても蚊に刺されるのを完全に防ぐことは出来ない。そのために予防薬を1カ月毎 に薬をお家でのませてあげるのだ。普通の錠剤タイプのものからおやつタイプのものまでさまざまな形状のものがある。

ここでよく勘違い されるのがこの薬、1カ月間効果が持続するというものではなく、薬をのんだそのときだけ効果がある。蚊に刺されて入ってきた一か月分の仔虫をまとめて殺す 駆虫薬であるということを知っておかなくてはならない。そして1カ月以上たって心臓にまで到達したフィラリア仔虫にはしっかりとした効果が無いため忘れず きちんと1カ月毎の投薬が必要なのだ。

そして予防前の検査が必要である。これは前年に予防薬をのませていても必要だ。理由 は薬をのませたつもりだが実は吐いていたり体の調子によってきちんと薬が吸収できていなかったり予防期間、最後まで薬がのめていなかったりすることもある ため、そして万が一フィラリア症にかかっていて薬をのませた場合、時として命にかかわる重大な副作用が起こることもある。そもそも、フィラリア予防薬は要 指示薬であり「本剤投与前に犬糸状寄生の有無をミクロフィラリア検査及び成虫抗原検査などを実施して検査すること。」となっている。実際に投薬がきちんと 出来ておらず検査をしてみると感染してしまっている例があり検査の必要性を考えさせられることがある。

予防期間はここ、 東大阪では環境によるがおおよそ5月~11月である。これはなんとなくこの期間なのではなく一日の平均気温から計算されるもので HDU(heartworm Development heat Unit)と呼ばれる。つまり蚊の活動期間だ。大阪では早い年で4月から蚊が活動期間に入り11月半ばまでは続く。つまり最後は11月下旬~12月に投薬 しなければいけない。しかし環境によっても異なり、今年も「家の周りに蚊が出ているのでフィラリア予防を始めたい。」と言うオーナーさんもこられた。

フィラリア予防は 大切な家族に対する当然の義務といえるだろう。人はまずめったなことではかからないが、蚊に刺されるたびわんちゃんはその危険な感染症にさらされているの である。フィラリア症は正しい知識と誠実な投薬で予防するものである!!

*ちなみにフェレッ トは犬と同じく普通にフィラリア症に感染してしまう。猫も稀ではあるが感染することがある。感染自体は稀だが感染してしまうと心臓が小さいため少しのフィ ラリア寄生でも重大な症状をひきおこしてしまう。

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