犬・猫ペット健康診断パック

東大阪(瓢箪山)の動物病院「ライカ動物病院」は人と動物の楽しい生活をお手伝いするホームドクターを心がけています。

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手術について

2008年08月26日

  1. 手術にのぞむにあたっては必ず動物が麻酔・手術に耐えることができるかどうかの判断が必要になります。そのため身体検査はもちろん、動物の年齢や状態に応じて必要な血液検査をいたします。また、必要に応じてレントゲン撮影、エコー検査などの諸検査をおこないます。
  2. 麻酔は動物の年齢や状態に応じて、適切な麻酔薬を使用します。以前と比べても近年、使用される麻酔薬は醒めが早く、病状にもよりますが高齢の動物や内臓機能の低下した動物、小型の動物でもかなり安全に使用できるようになりました。
    ※麻酔中、動物を安全に維持するため必ず静脈血管の確保を行っているため手術部位以外にも前肢の剃毛を行いますのでご了承ください。
    麻酔中は動物の状態を十分観察し、呼吸数、心電図、体温、のほか、血液中の酸素飽和度や血圧、二酸化炭素濃度、心拍数、麻酔ガス濃度などもモニターしています。人と同様、もちろん100%安全な麻酔はありませんが、100%安全に手術が出来るよう努めています。
  3. 手術器具や手術着は全て完全に滅菌して手術にのぞみますが、準備の都合がありますので、緊急の場合を除き手術日は前もってご予約いただいています。
  4. 手術・動物種によって手術前日・当日にごはんやお水を控えていただく時間などが異なりますので術前検査の際にお伝えいたします。

不妊・去勢手術(中性化)について

不妊・去勢手術(中性化)不妊・去勢とは何でしょうか?単に赤ちゃんを作らないためだけのものでしょうか?
それだけならば男の子なら精巣の摘出、女の子なら卵巣(卵巣子宮の両方)の摘出までしなくても人と同じようにパイプカットや卵子の着床を防ぐリングの装着などでよさそうですね。
しかし、実際に動物病院では去勢手術・不妊手術といえば男の子なら精巣摘出術、女の子なら卵巣摘出もしくは卵巣子宮全摘出術をおこなっています。
これは、子供を作らないというだけではなく将来的な病気の予防や本人の性周期によるストレスやスプレー行動、攻撃性、マウンテイングなどの性行動など問題行動の抑制ということに重点を置いているためです。
私たちは人と人・動物と動物という単純な関係だけでなく、人と動物との絆「ヒューマン・アニマルボンド:HAB」を築いてきました。だからこそお互いのことをよく理解しどのようにその関係を良いものにしていくかを考えなければいけません。
例えば、性周期により発情がきてしまったらどの子も外に出て行きたがったり異性を探したりしてしまいます。これは自然な成り行きでしょう。しかし、実際にはおうちの中にいて自由に異性を探したりは出来ませんし、猫ちゃんなら昼夜問わず、ずぅーと鳴き続けたりします。また、お散歩中にも知らない子が寄ってきたりもしてしまいます。発情のたびに生理用パンツをはかさなければならないかもしれません。犬・猫にとってこれらのストレスは私たち人間が思っているよりずっと深刻です。

 

次に将来的な病気について考えてみましょう。

性ホルモンに依存するものとして・・・
男の子なら精巣の腫瘍、前立腺肥大、肛門周りの腫瘍、会陰ヘルニアが挙げられます。
女の子なら卵巣の腫瘍、子宮蓄膿症を代表とする子宮疾患、乳腺腫瘍などが挙げられます。
特に女の子の乳腺腫瘍については早い時期での避妊手術により劇的に予防効果があります。また、乳腺腫瘍が発生した場合、犬では50%が悪性、猫では90%近くが悪性であるといわれています。

 

今、健康だからこそ将来の病気の予防を考えてあげることが必要ではないでしょうか。
また「避妊・去勢手術をすれば肥満になっちゃうでしょ?」とよく尋ねられます。確かに手術前に比べて多少太りやすくなりますが、手術後にもきちんとしたカロリー摂取量を計算して定期的なチェックをしてあげることでほとんどの場合、適切な体重を維持することが可能です。

 

不妊・去勢手術についてどう感じられますか? 「中性化」とは単に赤ちゃんを作らないというだけではなく、人との生活におけるストレスや病気の予防などいろいろな恩恵を得られるものであるということがわかっていただければ人と動物の関係もさらによいものになる、と思います。

 

不妊・去勢手術のメリット・デメリット

メリット
  • 望まれていない交配による妊娠を避けられる。
  • 問題行動の抑制
    スプレー行動、攻撃性、マウンティングなど
  • 性ホルモン依存性疾患の予防
    ♂:精巣腫瘍・前立腺肥大症・会陰ヘルニア・肛門周囲腺腫など
    ♀:子宮蓄膿症・卵巣腫瘍・乳腺腫瘍など
デメリット
  • 全身麻酔が必要
  • 尿失禁(まれにに大型犬で)
  • 縫合糸反応性肉芽腫(特にM.ダックスフンドで報告が多い)※1
  • 体重の増加傾向(肥満傾向)

 

※1:縫合糸反応性肉芽腫について

不妊・去勢手術だけでなく手術時には血管を結ぶ糸(縫合糸)に従来から絹糸が使われることがありました。しかし、この糸は非吸収糸といいいつまでも体内に残ってしまい、糸に対する異物反応が過剰によりその部分に肉芽組織が形成され炎症が起こることがあります。しかも、糸がある部分だけでなくその周囲にも炎症を起こすことがあります。治療として縫合糸の摘出だけで済むこともありますが、免疫を抑えるお薬を継続して飲む必要があることもあります。
原因は免疫介在性の疾患であるとされていますが、まだ詳しくは解明されていません。
解明されていなくとも原因として考えられている「非吸収糸」ではなく異物反応が起こりにくい特別な吸収糸を選択しシール可能な血管は血管をシール切断することによってこの過剰な免疫反応を避けるべきであると考えています。

 

手術室設備の詳細はこちらをご覧ください。

歯石除去について

人の口臭のおよそ85~90%は口の中から発生します。犬や猫においても口臭の一番の原因は歯石・歯肉炎などによる口腔内疾患です。それでは口腔内の疾患はどのように起こるのでしょうか。
歯の表面に付着した細菌は、数日以内に歯石の元となる石灰化を引き起こします。プラーク(細菌の塊)や歯肉炎が進行すると歯周炎になり、歯と歯グキのすきま「歯周ポケット」が形成されます。プラークや歯周ポケット、舌に存在する細菌が食べかすや歯垢やタンパク質を分解して口臭の主な原因となる「揮発性イオウ化合物」を産生します。これが口臭の正体です。この物質は歯周病の原因にもなります。しかも、わんちゃん・ねこちゃんは口の中で細菌の繁殖を抑える酵素が人と比べて少ないため歯石がすぐ形成されてしまいます。
歯石の付着は口内炎・口臭のような口腔内のトラブルを起こすだけなのでしょうか?いいえ、歯石=細菌の塊なのでお口の中は常に細菌の脅威にさらされ、知らず知らずのうちに歯肉の血管から多量の細菌の毒素が体全体にまわってしまいます。具体的には心臓・腎臓・肝臓などに口の細菌毒素による悪影響が起こります。
例えば、犬の心臓病の中でも最も多い「僧帽弁閉鎖不全」という病気は心臓の弁がきちんと閉まらず血液が一部逆流してしまう病気ですが、細菌の毒素で心臓の弁が変性してしまうことも原因といわれています。
歯石の付着を出来る限り予防するためにデンタルケアをしてあげましょう。歯磨きが可能な子は毎日のブラッシングを、なかなかさせてくれない子でも酵素入りのチュウ(ガム)やペースト状のケア製品を使っての予防が可能です。あまりに歯石の付着がひどい子はきちんと検査をした上で全身麻酔下での超音波スケーリングが効果的です。

 

歯石除去の流れ

  1. 歯垢・歯石除去:超音波スケーラーなどで歯石を除去する
  2. ルートプレーニング・キュレッタージ:キュレットという器具を使い歯肉ポケット内をきれいにする
  3. ポリッシング:研磨剤を用いラバーカップなどで歯の表面の目ではわからないくらい小さな凹凸をなくす
  4. 薬剤注入:重度歯肉炎がある場合はミノサイクリンなどの薬剤を注入する。

歯石除去処置前 歯石除去処置後

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