2008年08月26日
心臓の右心室・肺動脈・後大静脈などの静脈系に20~30㎝ほどの細長い虫が寄生することによって循環不全として色々な症状を示します。犬フィラリア症は直接犬から犬へ感染するのではなく、フィラリア症の犬の血を吸った「蚊」によって感染します。
予防方法は簡単で予防薬を月1回服用することで予防できます。ただし、予防薬を服用する前に必ず血液検査を受け、フィラリアがいないことを確認してからの投薬になります。
もしフィラリアが寄生しているワンちゃんに予防薬を投与すると重大なショック・元気消失・食欲不振・嘔吐などの症状が現れることがあります。
検査をすると毎年フィラリア症に感染しているワンちゃんが何頭かいます。必要な予防期間を中断したり、予防をしていないワンちゃんが残念ながらいるためでしょう。
また、フィラリア予防薬は正確にはフィラリアの仔虫を殺す「駆虫薬」です。つまり、1ヶ月間薬が効いているわけではなく1ヶ月分の新たに感染してきた仔虫をまとめてやっつけているのです。ですから、決まった期間、最後まできちんと予防してあげましょう。
ワクチンは、さまざまな恐ろしい病気から体を守ってくれる抵抗力(免疫力)を体につけます。
生まれた年にだけワクチンを打っていて、その後一度もしていないというわんちゃんがたまにいますが、年を重ねるごとにその免疫力も低下して、病気に罹り易くなります。
数年間、ワクチン接種をしていない子も、もう一度ワクチン接種の必要性を感じていただき、接種してあげてください。
仔犬は、生まれてすぐ飲む母乳(初乳)を通じて、お母さんから免疫力を授かります。はじめはこれによりさまざまな病気から体を守ってくれるのですが、短期間しか効果がありません。そのために、その抵抗力がなくなる頃から、ワクチン接種を開始する必要があります。
生後50~60日齢で最初の、その後1ヶ月おきにワクチンを接種し、恐ろしい病原体から身を守る「長期間の免疫力」をつけてあげましょう。最後のワクチンが終わってからは、1年に1回、追加接種してあげてください。
当院では2種、5種、7種の混合ワクチンが接種可能です。生活環境に合わせて予防してあげましょう。
ワクチン接種においてはごく稀に急性のアレルギー反応が起こる場合がありますので、当院ではワクチン接種後、30分は院内でお待ちいただいております。
予防できる感染症は主に以下のものがあります。
血液の混じったひどい下痢や嘔吐を起こす腸炎型がよく知られていますが、仔犬に突然死をもたらす心筋型もあります。伝染性が強く、死亡率も非常に高い、恐ろしい病気です。
発熱・下痢・神経症状などが起こり、全身がおかされ、治ってもいろいろな後遺症に悩まされます。
死亡率もとても高く、恐ろしい病気です。
「ケンネルコフ」と呼ばれる犬のカゼ症候群の原因の1つで、咳や鼻水などが見られます。
「ケンネルコフ」と呼ばれる犬のカゼ症候群の原因の1つで、扁桃炎などの呼吸器病を起こします。
アデノウイルス1型による感染症で、肝炎を主とし、嘔吐や下痢、食欲不振などが起こり、目が白く濁ることもあります。仔犬では突然死することもある、恐ろしい病気です。
人と動物共通の、細菌によって腎臓や肝臓がおかされる、恐ろしい病気です。
いろいろなタイプがありますが、重篤なのは、歯茎の出血や黄疸が見られる黄疸出血型(イクテロへモラジー型)と、尿毒症、急性腎炎を起こすカニコーラ型の2種です。
アウトドアで活動する犬ほど、感染しやすいので、予防が大切です。
ノミに咬まれた所のかゆみだけではなく、唾液成分に対するアレルギーにより一ヶ所かまれただけでも全身的なかゆみが起こり特にお尻に近い背中をよくなめて急性の皮膚炎が起こります。
また、瓜実条虫というサナダムシの仲間を媒介してしまいます。
イエダニ(ハウスダスト)とは違います。小さい幼ダニを見つけることはまず出来ないでしょう。
吸血性のマダニは非常に怖い病気を媒介します。犬では「バベシア」という赤血球に感染する小さな小さな原虫を感染させるのです。そして赤血球の表面の構造が変化して「この血は自分の血じゃない!」と認識してしまい自分で自分の血液をどんどん壊してしまいます。それにより命にかかわるような重度の貧血を起こしてしまうのです。残念なことに現在のところ、いくら治療してもこの原虫に感染すると一生、体からいなくなることはありません。
また、このバベシアについては現在、感染しているかどうかPCRという方法で遺伝子的に検査することが可能です。病原体などをさらにわんちゃんの体内へ入れてしまう可能性があるため、もし、マダニを発見したら無理に取らずにすぐに病院まで連れてきてください。
このようにさまざまな病気の原因にもなるノミ・マダニの駆除・予防は確実にしてあげましょう。
狂犬病は犬だけの病気と思われがちですが、人間を含むすべての哺乳類に感染する病気です。病原体ウイルスは、狂犬病にかかっている動物の唾液に含まれ、その動物にかまれると発病します。発病したら100%死亡するという恐ろしい病気です。
近年、日本人が感染しニュースになりましたが近隣の国も含め海外では多くの発生例が未だ報告されています。但し、予防注射さえきちんと打てば、予防できる病気です。 日本には「狂犬病予防法」という法律があり、年に1回予防注射を受けることが義務付けられていますので、大切な愛犬のためかならず予防接種をしてあげてください。(但し、子犬の場合は生後91日以降に受けることとされています。)
人は、お耳がかゆければ、自分で綿棒などを使って、きれいにすることができます。
ところが、わんちゃんは、自分ではお掃除ができないため、かゆくなってから、しきりにお耳を後ろ足で掻き始めたり、壁にこすり付けたり、頭を振り始めたりします。
わんちゃんの耳は「L字型」になっているためおうちで綿棒で奥まで、というのは避けてあげてください。(耳垢を奥につっこむだけになることもありますので・・・)
ですから、おうちでは外から見える範囲をイヤーローションなどを使って清潔にしてあげてください。
わんちゃんは自分で歯磨きが出来ません。それだけが原因ではありませんが歯石を含め口内炎になりやすかったり、そのままにしておくと口の中のばい菌の塊である歯石からの感染により心臓病や腎臓病などを引き起こしてしまいます。
一度付いた歯石は超音波スケーラーなどを使って物理的に取り除かなければいけませんが、予防に一番効果的なのはもちろん「歯磨き」です。でもそれまでに習慣がついてなければ難しいかもしれません。当院では、歯磨きできる子はもちろん、歯磨きを嫌がる子にも細菌が増えるのを防ぐ酵素の入ったガムや歯磨きペーストなどを使ってのデンタルケアをおすすめしています。
わんちゃんには肛門嚢(においぶくろ)というものが肛門の左右に存在します。ここに臭腺がたまります。通常はウンチをするときなどに一緒に出るのですが臭腺の性状や肛門周りの筋肉の付き方、炎症などにより出せない子がいます。そんなときには自分で自分のオシリを追っかけてくるくるしたり、オシリを床にこすり付けたりします。そのまま放置しておくとにおいぶくろが破裂してしまうことがありますので
このような症状が見られた時は病院に連れて行ってあげましょう。