2008年09月27日
夏が過ぎて涼しくなってくるとオシッコの出が悪いねこちゃんが連れてこられる。
来院理由はさまざま・・・。
「これまでにもあったんやけど今年もまたおしっこが出にくそう。」
「○○ちゃんが血尿したんです。」
「なんかそわそわして落ち着きが無くて・・・・。よくおちんちんを自分で気にしてるみたいなんです。」
「どうも便秘みたいで何度もトイレにいっていきんでるんです。浣腸してもらったら治りそうなんやけど。」
ヒトの便秘とは違うのだが確かに「巨大結腸症」など便が出にくくなってしまう場合もある。しかし、膀胱炎で残尿感があったり通常出せるはずのオシッコが何らかの理由で出なくなってしまっていることのほうが多い。
そもそもどういった理由で膀胱炎になるのでしょうか?ストレス?これに関してはなんとも難しい問題です。正直、本人に聞いてみないと(いや、本人に聞いても)分からないだろう。
今のところ言われている原因は
① 細菌感染によるもの
② 膀胱結石などによるもの
③ 特発性(①にも②にも当てはまらないような突発的なもの)が主なところである。
稀ではあるが膀胱内などに腫瘍(がん)ができることもあるが本当に稀なことだ。
細菌感染によるものだが実際には猫では意外に少ない。それとは対照的に犬ではこれがとても多い。これはねこのオシッコが濃く通常酸性であるため、ブドウ球菌や大腸菌が感染しにくいためである。 それに対して猫では膀胱結石などで起こる膀胱炎はよく起こる。結石の種類はいろいろあるがオシッコのpHがアルカリ性の時にはストラバイト(リン酸アンモニウム・マグネシウム)、酸性の時にはシュウ酸カルシウムが多い。この結石に対しては食べ物の成分バランスや飲む水分量、体質が関係しているため再発予防のためそれぞれに適したフードが必要である。 症状で最もひどいのが、特に男の子で多いのだが結石が尿道に詰まったり、尿道が痛みで痙攣を起こしてしまってオシッコが貯まってるのに自分で出せなくなる「尿路閉塞」という状態だ。オシッコが出ないということは体外に出す必要な毒素が体の中に貯まってしまうということだ。膀胱は「ぱんぱん」なのでそれ以上オシッコがつくれなくなり急性の腎不全になってしまう。この一連の流れが膀胱炎で命を落としてしまうメカニズムだ。だから、早めの診察で症状の軽いうちにコントロールをするべきだろう。尿路閉塞を起こしてしまったら閉塞を解除するまでの時間が遅ければ遅いほど命の危険性が高くなってしまう。解除してもすぐにまた詰まってしまう場合には尿道の手術が必要な場合もある。しかし、この手術にも「今後の生活のなかで膀胱への細菌感染が起こりやすくなる」という欠点もある。 普段、何気なく見ているトイレ姿だが「膀胱炎」になってしまったときには猫は普段とは違うサインを示してくれているものだ。 膀胱炎はフード・水などきちんとした管理をすることで再発をかなりおさえられる病気である。これは家族の一員として真剣に取り組んであげるべきだろう。一緒に生活する猫も2度、3度と同じ「しんどさ」を経験したくないのだから。