2009年2月アーカイブ

昨年末の事ですが、オーストリアの研究者らが犬も嫉妬に似た感情を表すことができるとの研究結果を「Proceedings of the National Academy of Sciences」という雑誌に発表しました。
 研究を主導したウィーン大の動物心理学者、Friederike Range氏によると、犬は他の犬が「お手」をしておやつをもらったのに自分がもらえなかった場合、不機嫌になったり「お手」を拒んだりすることが確認されたそうです。また、ほかの犬がもらっているのに自分は褒美がもらえない場合、体をなめたり引っかいたり、ストレスを感じている様子を見せたとの事、同氏は「われわれが普段動物に対して考えているよりもずっと複雑な感情を持っている。」と述べたそうです。

この論文を読んで、私も思いあたることがありました。

私がまだ学生で大学の付属病院で研修していた頃、一人のシェルティーの女の子が手術で入院しました。その子はご家族の中で高校生のお兄ちゃんのことが一番大好きなのですが、ご自宅が遠方だったため、ずっと昼間にお母さんだけが面会に来られていました。手術から1週間ほど経ったある日、ご家族全員が面会に来てくれたのですが、その子は大好きなはずのお兄ちゃんに見向きもせず、お母さんやお父さんにばかり擦り寄っていました。ご家族はみな「どうして?」と首を傾げていましたが、寂しくなったお兄ちゃんがボソッと「俺のこと…忘れた?」と言ったとたん……。「そんなわけ無いじゃない」と(言ったように聞こえた)突然振り返るとお兄ちゃんに飛びつき、顔を舐めまくり…キュンキュンと鳴きながらお兄ちゃんの足の間に割り込んでおフセ。その場に居た全員で大笑いしました

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犬や猫の知能は人間でいうと35歳相当との説もありますが、彼女の様子はまさに「すねてわざと知らないふりをした」ように見えました。もし動物にも「すねる」という感情があるのなら実際はもっともっと、それこそ人間と変わらないくらいに高度な感情があるのかも知れませんね。私たちがそれを読み取りきれていないだけなのかも知れません。ちなみにそのシェルティーの女の子は退院が平日だったにもかかわらず、お母さんだけでなくお兄ちゃんもお迎えに来てくれて意気揚々と帰っていきました。きっと迎えに来てくれたお兄ちゃんと同じかそれ以上に彼女も嬉しかったと思います。

 

*写真は私の友人のおうちのシェルティー、ジェンナーちゃんです。彼女も「お兄ちゃんが大好き」娘だそうです。

 

祝!一年。

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私事ですが、我が家のとらのすけ(女の子です。)が26日で一周年を迎えました。

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この14年間、半年ごとの血液検査やエコー検査をなんの問題もなく粛々とクリアしてきたとらのすけ。昨年の正月に突然何の前ぶれもなく、バッタリ倒れました。症状から脳の異常を疑いMRI検査を受けたところ、なんと脳腫瘍が発覚。悩んだ結果、「このままではもう長く生きられない」と、摘出手術に踏み切りました。一部分が頭蓋骨に接していたのが不幸中の幸いで、なんとかそこから摘出術を行うことができました。それが昨年の26日でした。かなり大きな腫瘍だったので記憶や運動に障害が残る可能性もありましたが手術後数週間に軽いふらつきがあっただけで今は全く問題ありません

 しかしまあ、生まれて数週間で偶然院長と出会い、当初飼うつもりのなかったのを一瞬でとりこにし、さらには研究者になるつもりだったのを「とらは俺が診る!」と臨床医に目覚めさせたこの強運…。すべてはここにつながる運命だったのかも…。大好きな飼い主に手術してもらい、24時間付きっきりで看病してもらえる子はそうそう居ないでしょう。と、とらのすけを見ると…「どうよ!」と自慢げに見返してくるのがとても小憎らしいのです。

※関西では得意げな顔のことを「どや顔」と呼びます。

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