寒い日が続きますね。年末を忙しくお過ごしの方もいらっしゃると思うので、
体調管理には十分お気をつけくださいね。さて、私が寒い日にどうしても思い出す話を一つ。
以前勤務していた病院で、ある寒い朝にお父さんと女の子がやってきました。
手にはすでに意識を失って今にも息絶えそうな子うさぎが・・・。
女の子は号泣。お父さんはオロオロ・・・。
聞くと昨日からお腹がゆるくなり、「明日、動物病院に行こうね。」と言っていたのだそう。
で、朝起きてみたらそのような瀕死の状態に・・・。
どうやら下痢と寒さのダブルパンチで低血糖と血圧低下を起こしてしまったようでした。
既に意識がないほど衰弱してしまった子ウサギを救命できる確率は・・・残念ながらほぼ0%です・・・。
しかし、女の子の必死さに「助けられるか分からないけど頑張ってみましょう。」と入院で治療しました。
とは言え子ウサギの、針より細い血管に点滴など出来ません。
他の獣医師からみれば「なんちゅうことを・・・」と思われるかも知れませんが・・・
私は子ウサギの腕の骨髄に糖分の入った点滴をしました。
それでも子ウサギの意識は戻らないまま、時間がたち「だめか」と思ったそのとき・・・
・・・なんと!突如、奇跡の復活!!!
しかもコロッコロの良い便が大量に!サイコーです胃腸も正常に動き出した証拠です。
で、面会に来た女の子と二人で「がんばったねぇ!」と子ウサギをなでまくりました。
やわらかくてあったかい子ウサギの感触。心から「生きてるってすばらしい!」と思いました。
・・・
その後、毛皮、いわゆる「ファー」を触ると反射的にその時のことを思い出すように・・・
触るたびに「これも元は私とあの女の子が必死になった子ウサギと同じ・・・」
などと思ってしまい、気分がふさぐようになり・・・
触るのを避けるうちに完全に「ファー」がダメになってしまいました。
あれからすでに7年が経過。 たぶん一生「ファー」はダメなままだと思います